勉強法について〜一般論

(最終更新日:2003年3月26日)

受験勉強には才能が一番大切である

1. 受験における才能の重要性

・・・のっけから,思いっきり反論を浴びそうなことを書いてしまいましたね。

はい,というわけで,
まずは勉強法についての一般論みたいなことを書いていきたいと思います。
一般論なんて書くと,読者の関心が一気に薄れる,
なんてことは分かりきっているつもりですので,
とりあえずインパクトのある出だしにしてみたつもりです。

で,「才能」って何よ?

で,冒頭に書いた命題。「勉強は才能が一番大切です」。
ちょっとこのままでは話が進めづらいので,次の命題を考えてみます。
勉強することは,大学に合格するための必要条件である
これは当たり前の命題ですよね。
大学入試で出題されるのは,高等学校で学習したことですから,
その分野を学ばないことには受かるはずもありません。
そして,これを逆に考えてみると・・・
勉強したからといって,必ずしも大学に合格するとは限らない
  または
大学に合格しなかったとしても,その理由は「勉強しなかったから」とは限らない。
となります。つまり,
勉強して身に付けた「知識」を,いかに活かすか。
これが,私の言うところの「才能」です。

もう少し噛み砕いて言うならば,
  • 問題の内容を「理解」して,
  • その内容を「分析」し,
  • 必要な知識を「取捨選択」して「統合」する
力が問われるのです。
その力を,「才能」と呼びました。

受験のパターン化と才能

反論「けれど,数多くの問題をこなせば,
 入試問題なんてパターン化されるんじゃないの?」
じゃあ聞いてみましょう。
練習しさえすれば,例えば平成教育委員会に出題されるような,
有名私立中学校の入試問題が解けますか? 

・・・少なくとも私には,あのような問題は
「閃くか,閃かないか」という要素が大きすぎて,
確実に解けるようにはならないと思われます。


もう一つ例を。
小学校の算数とかで,クラスに何人か,
「計算は出来るけど文章題は解けない」
って人,いませんでしたか? 

あれは,先で言う「分析」「取捨選択」などが
上手く出来ないということになります。


そして何より,受験問題のパターンを覚えきることは不可能に近いと思います。
私の体験からしてみても,国語などは完全に不可能ですし,
数学なんかも無理だと思いました
(少なくとも,定期テストレベルの問題はこなせる私でも,
東大の数学の問題にはかなり苦労しました(最終的には1完4半))。
化学や生物だって,考察問題を絡められたらどうしますか?


確かに,
  「問題を数多くこなすことによって,
  その中から共通の要素を抜き出してパターン化し,
  それを実際の入試で(近似的に)当てはめる」
ことは,可能です。

が,この仮定の中で2箇所,「才能」が関わっていることになります。
「共通の要素を抜き出す」,「(近似的に)当てはめる」の2箇所です。
(ごく一般的な能力と考えられているこれらの能力も,
私からしてみれば一つの「才能」だと思うのです。)


私なりに考えてみると,やはり「才能」というものは必要になるものです。

「努力=合格」という神話

・・・ここまで説明してきて,一つの謎が皆さんの頭の中にあるはずだと思います。
 「それならば何故,こうも 『勉強すれば受かる』という話が蔓延る(はびこる)のか?」
答えは簡単です。
大学に受かった人はほとんど『才能』を持っていたから
それだけの理由だと私は考えます。


才能を持っていない人は,もちろん大学入試の時点で淘汰されますし,
それ以前に高校入試の時点でも淘汰されます。
大学に入学した人は,才能を持っていて,かつ,それを勉強によって引き出した人です。

逆に言えば,大学に受からなかった人は,
才能を持っていなかった,または,勉強しなかったため才能を引き出せなかった人。



理由はもう一つあります。
大学に合格しなかった人には発言の機会が与えられないためです。

合格した人は,高校に行って後輩に自慢話をするなり,
合格体験記の取材を受けるなり,
誰かさんみたいにホームページを作るなりと,
発言の機会は山ほど与えられます。

そして彼らは,自分に「才能」があることに気付いていないため,
あたかも「(ある程度まで)勉強したら誰でも受かる」という
勘違いした発言をするのです。

(自分に「才能」があることに気付いていないのならまだいいのですが,
中には(特に,駒場と本郷にキャンパスを持つ某大学とか),
「世の中の人間は全て自分と同じ能力は持っているのに,
それを活かしきれないのは勿体無い」
と思い込んでいる輩もいるから性質が悪いです)

2つのハードル

話を元に戻しましょう。

 ・受験勉強は,才能が一番大切である。
 ・勉強したからといって合格するとは限らない。

ここに横たわるハードルは2つあります。

1つ目は,勉強したことを知識として身に付けられるか。
2つ目は,身に付けた知識をちゃんと問題に応用できるか。

実社会と受験勉強

・・・はい,ここで一つ考えてみましょう。
(ちょっと受験の話題とは離れます)

  
質問:「さっき挙げた2つのハードルって,受験勉強だけに必要なものでしょうか?」
もちろん,答えは「ノー」。
受験どころか,一生,ずーっとついてまわる能力です。

例えば,会社が新入社員を教育することを考えてみましょう。

会社側は,その業界の基礎知識や,取引の方法など,
その会社の構成員として働くのに必要な知識を,研修期間中に教育します。
ここで1つ目のハードルを越える能力が必要となります。
(研修で話を聞いても何も身に付けられない人は
 会社にとってはただのお荷物にしか過ぎません。即解雇です)

そして,その知識を身に付けたら,あとは実際に働くのですが,
相手は何も研修で扱ったようなことばかりとは限りません。
顧客のニーズは十人十色,
マニュアルをそのまま適用できるような相手ではありません。
ここで2つ目のハードルを越える能力が試されます。
反論「机の上の勉強と,実際に会社で働く能力は別だろ?」
確かに,必ずしも一対一で対応するとは限りません。
かといって,正の相関関係があることは疑いようも無いでしょう。

企業は,入社試験という限られた時間の中で採用する社員を選ぶわけですが,
これだけではとても志願者の能力を測りきることはできません。

彼らの論理は,
「学歴が高い→先の2つの能力を持っている→採用されやすい」
となっています。
ここに学歴社会の構造のトリックを簡単に示しました
(実際にはもっと複雑な理由もあるのでしょうが,まあ割愛します。)。

3つの才能

受験の話題に戻りまして。


  (1)勉強したことを知識として身に付けられるか。
  (2)身に付けた知識をちゃんと問題に応用できるか。

この2つの「才能」があれば,後は勉強しさえすれば合格します。
もう少し正確に言うならば,「適切な勉強を」「一定量以上すれば」合格します。

そして,そのための才能がもう一つ。

  (3)ちゃんと勉強できるか。


私の考えでは,努力できるのも才能のうちに入ります。(参考→努力という才能
なのでもう,全部ひっくるめて,
大学に合格するには才能が必要,と書いたわけなのです。


かといって,才能だけで決まるほど,世の中はまずく出来てません。
ちゃんとその才能を引き出す方法があります。
それが,個々人に合った勉強法,というわけです。

2. じゃあ,勉強法ってどう見つけるの?

個人にあった勉強法

さて,ここで強調しておきたいのが,
個々人に合った」というところです。

自分に合った勉強法をとらなければ,
せっかく頑張って勉強していたとしても,その効果は減るはずです。

数学の定期テストで点数を取ろうと思って,
ただひたすら公式を紙に書いて覚えようとしたって
うまく行くはずがありません。
例えて言うならば,走り幅跳びの選手がひたすら
長距離の練習であるロードワークばかりやっているようなものです。

勉強法の見つけ方

じゃあ,どうやってその「自分に合った」勉強法を見つけるのか。
本屋には勉強法を書いた本が一角を占めるまでになっていますし,
ネットにも勉強法を紹介したサイトは(まだ多くはないものの)様々なものがあります。
普通の人は,これをマネしてみようと思うわけですね。

私が今から勧める方法も,実はただの「真似」です。

「自分に合った勉強法を見つけろ」とか言ってる割に無責任な,
と言われそうですが,
他人の真似をすることなしに,自分に合った勉強法を見つけるのは非常に困難です

私だって,最初はいろいろな本に書いてある勉強法を見て,それをマネしつつ,
使えるところは残して,使えないところはどんどん切り捨てる
という方法で自分なりの勉強法を確立したものです。

つまり,極論を言ってしまいますと,
「私がこのコーナーで紹介する勉強法に,オリジナルの部分はまったくありません」。
全て,本屋で立ち読みした勉強法の本や,某通信教育の付録の冊子で読んだこと,
そういったことを自分なりに組みあわせて作り上げた勉強法です。
(また,私が大学に入ってから新たに作り出した勉強法も,同時に紹介していけたらと思います)


そして,皆さんにも,自分なりの勉強法をぜひ確立していただきたいと思います。
先にも述べたように,受験勉強で確立した「勉強する能力」は,
実社会に出たときも絶対に役に立つはずですし。
そのためにも,うちのウェブサイトにとどまらないで,
積極的にいろんなウェブサイトを見てみたり,
勉強法の本を読んでみたりして(別に買う必要はなくて,立ち読みすれば十分です),
広い視野を持つように気分を変えてみてください。

勉強法の洗練の仕方

そこから取りいれた勉強法をどうやって選別するかは,
トライアル・アンド・エラーです。
まずはいくつかの方法を実際に試してみて,
定期テストなどでその勉強法が自分に合っているかどうかなどを
見極めていけばよいでしょう。
(定期テストというのは,その時期に自分がちゃんと勉強したかどうかを
一番正確に反映してくれる鏡だと考えればいいです。)

それでうまく行った方法があれば,それを以降も続けていけばいいですし,
逆にうまく行かなければ,それを改善してみたり,別の方法を取りいれてみたり・・・。
(スランプに陥った野球選手がいろいろとフォームを変えるようなものです)

自己分析の重要性

この「選別」の作業を行うためには,常に「自己分析」が必要となってきます。

まず考えてみたいのが,「どうしてその勉強をやっているのか」。
例えば,筋力トレーニングでは
「どこの筋肉を鍛えているのかを意識する」
ことが非常に大切なのですが(トレーニングの原則です),
これと同じことはもちろん受験勉強にも当てはまるはずです。

例えば,皆さんが使っているであろう「英単語帳」。
何のために使っているのですか?

語彙力を高めるため,というのは言うまでもありませんが,
ならば何のために語彙力を高めるのですか?
これに答えられる人って案外少ないと思います。


答え。
明確な一つの目的はありません

英語の学習を始めたばかりの人ならば,
文法や構文の参考書を読むのですら一苦労ですから,
その基本となる単語を単語帳で補う必要があります。
(もっとも,中学校でちゃんと勉強していればこの必要はありませんが)

高2やそれくらいの段階にある人は,
「長文で出てきたときに分かるように」というのが主目的となります。

また,TOEICが900点レベルのような人は,
ひたすら知識を増やすために単語帳を使うでしょう。
(もっとも,自分はこのレベルまで行ってないので分かりませんが)

こういったことを意識するだけでも,受験勉強の効率は大幅にアップします。
例えば,長文のために英単語を覚えると決めているのであれば,
実際にその単語が長文の中でどのように登場するかをイメージすることが出来ます。
また,それ以前に,モチベーションが上がるというのも大きいです

3. まとめ

長くなりすぎたので,まとめることにします。

大学に合格するには,

(1)勉強したことを知識として身に付けられるか。
(2)身に付けた知識をちゃんと問題に応用できるか。
(3)ちゃんと勉強できるか。

という3つの才能が必要である。

この3つの才能を持っている上で,個人にあった勉強法を取れば,大学には合格する。
個人にあった勉強法は,3つの才能を開花させるからである。

勉強法を確立する上では,多くの情報源から勉強法を取り入れ,
自己分析をすることによってそれを洗練することが大切である。


補足

もちろん,ここに書いた事は机上の空論であり,理想論です。ここに書いてあることをそのまま人に話しても嘲笑の対象にしかなりませんので(笑)。ですが,これらのことを常に「基本方針」として考えていれば,逆にその才能を100%発揮することも可能だと思います。

関連リンク

自分流勉強法
勉強法の確立の仕方について,もう少し詳しく書いてあります。
努力という才能
3つ目の才能である「努力」について。

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