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夏休みの過ごし方

受験生にとって,夏休みというのはやはり特別な期間なのではないかと思います。「夏を制する者が受験を制する」とかいう変な(?)言い伝えもありますしね。夏休みのいいところというのは,自分のやりたいことを自由に出来るということなんですが,それが逆に欠点になることだって当然あるわけです。

自制力の問われる期間です。

1.天王山とか言われている理由

「夏休みが受験の天王山だ」「夏を制する者が受験を制する」……などなど,受験業界には,夏休みに関するこういった言い伝えがあります。が,こういったものに限らずとも,言い伝えを無条件で信用するのはどうかと思うんですね。言い伝えっていうのは,それの裏に潜んでいる真意を汲み取ってこそ,初めて意味を持つものだと思うからです。

では,結局どのような真意が隠れているのか。それは,「授業が無いこの期間は,勉強計画を全て自分で立てて,全て自分で実行しなければならない」ということです。これを肯定的に見るか,否定的に見るかは,人によって異なると思いますが,ぜひ肯定的に捉えて欲しいところです。

つまり,授業に捉われずに,思うがままに,弱点を補強したり,長所を伸ばしたりといった計画を立てられるということです。

また,私の個人的な推測ですが,「今までちょっと(もしくは,かなり)思うように勉強が出来なかった人は,授業が無いうちにペースを立て直そう」という意味合いもあるのではないかと思います。この時期までも,ちゃんと授業の予習・復習などに取り組んできた人はそれだけで十分な力はついていることだと思いますが,そうではなかった人,つまり,授業とかのペースについていけなかった人などは,この夏休みがチャンスです。

2.計画の立て方

個人個人の環境によっても異なると思うのですが,夏休みは実質2ヶ月ほどあるのではないかと思います。かなり長いです。となると,計画の立て方がかなり重要になってくるはずですよね。長めの計画と短めの計画,2個くらい用意しておくと心強いです。

長めの計画とは,「この夏休みの目標」と言い換えると分かりやすいかもしれません。例えば,「化学の問題集を一冊仕上げる」とか,「古文の苦手を克服する」とか……。こういったものを各教科ごとに設定してみてはどうでしょう。例えば私の場合,化学については,「重要問題集(数研出版)の既習範囲を終わらせる」「化学IIの予習」の2つを目標にしました。うちの高校は,教科書が全て終わるのが3年の12月という超スローペースだったんですが,この2つの目標を達成したおかげで,模試などでは化学は人並み以上には出来るようになっていました。この長めの計画については,後からまた解説します。

短めの計画は,1週間や2週間単位の細かい計画のことです。これについては,計画表の作り方を参考にしてください。設定した長めの計画を参考にして,週単位・日単位で計画を立てていくのです。私の場合はどうしたかというと,「長めの目標を週単位に均等配分。それを,後は適当にメリハリをつけつつ日単位に配分」という風にしました。

次の項目以降では,どのような長めの目標を立てたらいいだろうか,ということについて書きます。

3.今までやってきたことの補強

夏休みになったからといって,何も新しいことに手を出さなければならないというものでもないのです。むしろ,今までやってきたことの中に不十分だと思えることがあったならば,まずはその復習や補強から始めていくとよいでしょう。例えば数学なんかだったら,「教科書の例題が解けない」というのは致命的ですから,まずはそれを解けるようにする,とかですね。それとか,英語だったら,今までに読んできた長文をサラッと読み返してみるのもいいかもしれません。見たことあるのに忘れていた単語がどんどん出てくるでしょう。下手に1冊の単語帳に取り組むよりもずっと効果があるはずです。

夏休みのうちに,そういった弱点分野や不十分なところを補強しておくと,かなり心強いです。本質的なところさえ理解しておけば,これからどんな難しい問題にぶつかったって,解説を見ればそれは理解できるはず。逆に言えば,入試問題と対峙するための必須のアイテムともいえるわけです。せっかく悪の大魔王のところにたどり着いたのに,それを倒すためのアイテムを持っていなかったら,それは悲惨そのものですから。そうならないためにも,この夏休みで,今までに不十分だったところを補強しよう,というわけです。

じゃあ,具体的にはどういったことがあるんだ,というと,次のようなことが考えられます。

英語
今までの分の,教科書や予備校のテキストなどを読み直してみる
上でも書いたように,忘れかけていた単語や文法事項などが復習できますし,長文のカンとかそうっいったものもつきます。また,読んだことがある文章なので,暗唱してみるのもいいでしょう。少ない時間で出来るのもいいところです。
文法事項の見直し
高1やそのあたりで習った文法事項というのは,意識して再度取り組むということは無いと思います。確かに,あの文法の教科書を,「5文型」の項目から順に見直していくのは嫌気がさすはずです。そこで提案したいのは,簡単な文法問題集を一冊用意して(今までに使ったものでも構わないと思います),それを一気に解く。そして,出来なかったところを,教科書に戻って見直す・・・というのはどうでしょうか。これで文法の穴は無くなると思いますよ。
使いかけの単語帳や問題集を完璧にする
今までに使いかけだった,単語帳や,即ゼミなどの問題集があれば,そういったものを片付けるのもいいでしょう。隙間時間を上手に利用して,片付けてしまうと,今後の力強いパートナーになってくれるでしょう。単語帳なんかは1冊仕上げてしまえば大体はいいんですが,夏休みが終わってから2冊目に取り組むというのもいいかもしれませんね。
数学
教科書の補強
教科書レベルの問題が解けないという人(自覚症状はあるはず!)は,やはり面倒くさがらないで教科書の補強を素直にやるのがいいと思います。練習問題などは全てパスして,「例題」のみをバーッと解いてみる。そして,分からない問題に印を付けて,そこは別の参考書で調べるなり,ノートを引っ張り出してくるなりして調べればいいでしょう。文系・理系に関わらず,教科書の問題が解けないという症状は夏のうちに解消する必要があるでしょう
国語
古文・漢文:定期テストの見直し
エッ!?と思った方も多いかもしれませんが,結構効果は期待できますよ。上の英語で書いた「教科書の見直し」と基本的には同じことです。別に教科書を全部見直したっていいです。上と同じことです。ただ,その分量が多くて嫌だという人は,定期テストの見直しでもいいんじゃないかな・・・と思い,提案したわけです。
文法・句法の見直し
上の英語で書いた「文法の見直し」と同じことです。薄〜〜い問題集や書き込み式のノートを用意して,それを一気に仕上げてみる。その中であやふやだった所を,古文や漢文のリファレンス(参考にする本)で見直していけばいいでしょう。
理科・社会
教科書レベルの理解を!
いちいち各科目については書きませんが,これらの科目は教科書レベルの理解を深めることを第一にすればいいと思います。ただ,使う教材なんかは教科書に限らなくてもいいと思います。例えば今までの定期テストを見直すも良し,問題集の基本問題だけを選んで解いていくも良し。このレベルが出来ないでいるのに,考察問題だの論述問題だのに取り組むというのは,「光の玉を持たないでゾーマに戦いを挑む」ようなものでしょうか(ドラクエ3持ってる人にしか分かりませんよね(汗))。つまり,考える力とか,書く力とかがあっても,その材料となるものがないというわけです。逆に,簡単な問題集の問題さえ解ければ,案外そういった考察とか論述とかもできるものだと思いますよ。

ここに挙げたもの以外にも,いろいろな方法が考えられますので,また各自で考えてみてください。

4.新しいことを始めてみる

特に自分の弱点が無いと思う(今までに受けた模試から判断しましょう〜)科目は,やはり新しいことにチャレンジしてみるのもいいでしょうね。問題集を1冊くらい仕上げる時間は,夏休みにはあるはずです。そして,この夏休みが,長い間腰をすえて家で勉強する最後のチャンスとも言えるわけです。

私が実際にやってよかったな〜と思っているのは,「問題集を一冊仕上げること」です。私の場合で言うと,化学は一冊の問題集を仕上げました。「化学重要問題集2000」という,網羅型の問題集(学校の指定教材だった)なんですが,これを仕上げることで,入試問題に対する免疫も出来ましたし(化学の入試問題なんて大したことないと分かった),自分の欠点もわかってきました(気体の計算問題が弱点だった)。分厚い問題集である必要はありません。薄くてもいいから,夏休みで完結できるような問題集を仕上げると,上のような利点もありますし,何よりも自信がつきます。

この方法は,全ての科目で有効なのではないかと思います。例えば英語だったら,長文の問題集を一冊仕上げるとかすればいいわけです。数学や理科では網羅型の問題集を解くのもいいし,または自分の苦手分野の問題集を仕上げるというのもいいかもしれません。国語なんかでは,センター試験の対策をしてみるのもいいでしょう。文系の地理歴史なんかでは,出来る範囲内での論述問題を始めてみてもいいでしょう。

また,未習分野の予習というのもよかったです。例えば,私の高校では,夏休み前の時点で,化学はやっとIBが終了したところだし,数学は数学IIIの積分にちょっと入っただけのところでした。というわけで,模試の範囲に対応するという意味合いも兼ねて,習っていない範囲の予習をすることにしました。教科書や参考書をサラッと読んで,8割くらいしか理解できなかったのですが,それでもかなり効果はあったように思います。もちろん,2学期の授業で楽について行けて,その分を他のことに回せたというのはありました。また,模試でその範囲の問題が出たとき,解けるとまでは行かなかったけれども,言っていること自体の内容をつかむことはできました。これが出来ると出来ないのとでは復習の効果も違ってきますからね。

細かい具体例は,書きません。何をやれば今の自分の長所を伸ばせるのか,それを考えてみればいいでしょう。

5.予備校を使うときは

高校生にとっては,普段授業があるときにも予備校に通うというのは,とても負担が大きいことです。授業の予習に予備校の予習,これだけで家で勉強する時間の大半が消費されてしまうのではないでしょうか。というわけで,私個人としては,授業期間中に現役生が予備校に通うということについて,あまり肯定的ではありません。(そもそも,予備校というもの自体をあまりあてにしていないのですが……これについてはまた機会があれば)

ただ,特定科目・特定分野の苦手を潰すキッカケや,特定大学の対策を盗みに,それも長期休業中の集中講座で,というのならば,話は少し変わります。どうしても,どうしても自分ではどうしようもないというようなことについてであれば,予備校にそのキッカケ盗みに行くのも悪くは無いと思います。

というのも,予備校の授業って,本当に非効率的かつ魅惑的ですから……。まずは前者について。同じ問題数をこなすのに(もちろん,その上で同程度の理解度が得られるとして),予備校での講習を受けるのと,自宅学習をするのとでは,(私の経験では)3倍くらいの時間差があります。次に,後者について。予備校の授業ってのは,あれはエンターテインメントなんです。分かった気にさせるのは,予備校講師はとても得意です。が,もちろん,授業を聞いただけで,じゃあ何も見ないで問題を解いてみろと言われたら,解けない。予備校で得られるものというのは,特定のストラテジー(戦略,方略)と,雀の涙ほどの知識,そして,巨大な満足感,この3つです。何かを分かるキッカケにはなるけど,それをマスターする(=自由自在に使いこなせるようになる)のは実際に自分で問題を解かないとダメだ。これをやらなければ,予備校に行く意味は無いといってもいい。

さて,そのことを踏まえた上で,予備校に行ったらどのように授業を聞くべきなのでしょうか。

まずは,絶対に予習をすることです。どんな予習をするかというと,最初に問題を解く。そして,分からなかったところについては,ある程度は自分で調べてみる。完璧に調べ上げる必要はないけれども,当日の授業の全ての範囲に目を通しておくことが大切です。こうしておくことで,授業を復習代わりに使うことが出来ます。また,予習のときに分からなかったところには印を付けておけば,授業中に特に集中して聞かなければ分からないところが分かったり,授業の後に復習するときにもその部分を重点的に見直すことが出来たりと役に立ちます。

授業中は,その授業の中での目的意識をはっきりとさせること。つまり,「この授業の中で,自分は何を講師から盗み取ってくればいいのか」ということを自分の中で明確にすることです。これを知るための手段の一つが,予習でもあるのです。この分野の問題を解けるようになるため/この大学の問題形式に対応するためのストラテジーは何なのか,ということがメインになってくるはずです。

学校の授業と同じように,授業の後のアフターケアも大切です。つまり,その講義の内容をマスターするために,そこで勉強した内容を使う問題を解いていきます。これは,講義のテキストに解答つきの補充問題などがあればそれをやればいいでしょうし,なければ市販の問題集や参考書のものでもいいです。ともかく,授業で学んだことを自在に使えるようになるのには,自分で問題を解いてみることが必要不可欠だということは認識しておいてください。

以上のことを踏まえれば,予備校に通うのも,それなりに効果はあると思います。

6.最後に

計画倒れだけは,起こしたくないものですよね……。ご利用は,計画的に。