過去問・大学別模試の使い方

(最終更新日:2002年2月5日)

傾向把握と,予行演習

 過去問の使い方は,大きく分けて2通りあると思います。それを意識することが大切。
(このアドバイスは,アンケートの希望によって,書くことにしました)

1.2つの用途

 過去問の使い方には,大きく分けて2通りあるのではないかと思います。「問題の傾向を把握する」「本番の予行演習を行う」この2つです。過去問を解くということはほとんどの人がしていると思うのですが,どちらの目的で今使っているのか,それを明確にしましょう。早速,2つの用途について書きたいと思います。

  1. 傾向把握: センター試験にしろ,2次試験・私立にしろ,問題の傾向は,毎年ちょっとずつ変わりますが,大体は同じような感じです。過去問を買ってきたら,別に解けなくてもいいから,大体の問題の様子を眺めてみるのです。例えば,東大の英語なら,「毎年最初に要約があって,第3問にはリスニングがあって,その他文法・自由英作文・和訳・長文読解があって,最近は段落整序があるな」くらいでいいんです。細かすぎるところまで見てはいけません。どういうことかというと,みんなのよく知っている例で言うと,2000年度以降の英語のセンター試験です。最初の発音問題ですが,徐々に傾向が変わってきているでしょう(単に語句の発音を問うものから,文の中での強勢を問うものに変化)。それとか,2001年度の国語だって,文学史が入ったり設問形式が変化したりというのがありました。あまりにも過去問に執着しすぎると,こういった細かい変化にすら戸惑ってしまいますからね。ほどほどにしておくのが一番です。
  2. 本番の予行演習: 時間配分の計画(※)と,弱点の把握が主な目的です。こちらは,結構直前になってからやってもいいかもしれませんが,国公立の2次試験の過去問とかだったら秋頃には3年分くらいはやっておいたほうがいいでしょうね・・・。秋頃に実際に解いてみて,自分の力の足りないところがどこかを把握して,そこから2月までの間で補強していく(★)のです。併願の私立なんかは直前でも十分だとは思いますが。また,本番の直前にも,「勘」を養うという意味で,過去問や大学別模試・その過去問を解いてみることをオススメします。
    (※:時間配分の計画も大切ですが,絶対に問題の数とか種類とか並び方とかは変わっているので,本番でも臨機応変に対応できるように!)(★:漠然と弱点を把握するだけじゃなくて,科目別にどのくらい伸ばせそうかをちゃんと把握してから補強の計画を練るといいでしょう。例えば,100点満点で70点とれた数学と,150点満点で60点だった英語とがあるのなら,英語を中心に勉強していけばいいわけです)
まあこのくらいだけ頭の中に留めておけばいいでしょう。過去問を解いているうちにここで言ってることも分かると思います。次の章からは,科目別に注意したいこととかを書いていきます。そして,最後に,大学別模試の使い方についても少々書きます。(注:アンケートでは,科目別というリクエストがありましたが,ここでは地歴公民を除く科目について書きます。)  

2.英語

 英語は,ほぼ全ての大学が出題している科目です。そして,最もその大学の特徴が表れるところではないかと思っています。出題形式も,和訳,英作文,要約,文法,リスニング,長文読解など,様々ですが,大学それぞれに漠然とした特徴はあるので,それだけは把握しておきましょう。英語に関しては実際に解いてみるのがいいと思うんですが,英作文の採点は誰か他の人にやってもらうほうがいいと思います。自分じゃ文法ミスとかにも気付かないですから。自由英作文ならなおさらです。あと,過去問でも分からなかった語句とかは,せめてチェックだけはしておきましょう。

3.国語

 国語は,東大京大を除くと,理系で出題している大学はありません(少なくとも私の知っている範囲では,ということですが)。こちらも,大学によっていろいろと個性があります。例えば,京大みたいに「書けるだけ書け!」という大学もあれば,東大のように「ポイントを的確に捉えろ!」という大学もあるし,早稲田のように「選んでね」というのもあります。そういう漠然とした傾向を把握しておくだけで十分だと思います。

 センター試験の国語に関しては,過去問はとても重要です。問題集とか模試とかより,ずっと役に立つはずですから。

4.数学

 数学は,大きく分けて2通りになります。穴埋め誘導式と,全部記述式です。穴埋め誘導式は,例えばセンター試験なんかは結構素直に誘導してくれたりするんですが,一部の私立では,「●●であるから▲▲」って書いてあるのに,逆に▲▲のほうが先に求まったりするのもありました。それとか,途中経過を書かなくてもいい穴埋め問題なんだったら,ひたすら数字を代入してみて合うまでやってみるというのもウラ技で使えるな,ということを覚えておくといいかもしれません。全部記述式の場合,まあ解いてみて,その問題背景とかを汲み取ることが出来れば一番いいんですが,そこまで知るのはちょっと無理でしょうね(苦笑)。ただ,過去にも似たような問題が出ているとかであった場合は要注意。同じ先生が作っているのかもしれないので,ひょっとしたら今年も・・・ってことです。

5.化学・生物

 化学・生物ともに,2次試験の問題には先生の嗜好が強く表れます。どういうことかというと,教授が大学で研究しているテーマを高校レベルにまで還元して入試問題を作成しているということなんです。これはもう東大では顕著すぎます。例えば2001年東大化学の第1問,あれは環境化学を研究している先生の作成した問題に違いありません。2000年度東大生物の第3問,あのプリオンの問題を作った先生に私は生命科学基礎を教わっていました(笑)が,その先生の専門にはプリオンも入っています。

 だからどうしたって言われそうなんですが,過去の問題傾向で,偏っているところはないかなと考えてみると,ひょっとしたら役に立つかもしれません。過去問の最初のほうについている傾向分析のページでも参考にしてみるといいでしょう。

6.大学別模試の使い方

 秋になると(東大・京大は夏も),大手予備校が大学別模試を開催します。その大学の出題にあわせて予備校が問題を作成するというものなんですが,極力全て受験しましょう。何故かというと,理由は2つあって,
  1. 本番と同じ形式,同じ傾向(であろう)問題が出題される・同じ形式の解答用紙が手に入る
  2. 本番と(ほぼ)同じ母集団で受験することができる
です。この中でも特に1の利点は大きすぎます。東大の国語(行数制限がある)とか理科(解答用紙を自由に使える・行数制限あり)とか,あんなの解答用紙を前もって入手しているのとしていないのとでは大違いです。本番の雰囲気を知るという意味でも受験することを強くお勧めします。私は3年になってからの大学別模試は全て受験しました(2年のときにあったらしい東大模試は,その存在すら知らなかった(汗)ので受験せず)。本番直前の見直しにもつかえるはずです。

7.最後に

 過去問を研究したって,普通の問題集をやるのと同じくらいのコストパフォーマンス(得た知識量/時間)しかありませんが,本番で戸惑わないというメリットがついてきます。しかし,あまりにも過去問に固執しすぎると,逆にちょっと傾向が変わっただけでも戸惑ってしまい,逆効果です。ほどほどにしときましょう。

あなたの意見も聞かせてください→→→掲示板

その他の細かいテクニックは問題集の解説・先生の説明などを参考にしてください。

戻る 進む

インデックスへ

ホーム


Copyright © 2002 TEL(telhappy@ybb.ne.jp). All rights reserved.