(最終更新日:2002年1月30日)
1年半前に作成したものをスキャナしました
カテキョで何をやろうかなと思い,高校のときの化学のファイルをあさっていたら,懐かしいプリントが登場。有機化学の反応をまとめあげたものなんですが,かなり参考になると思う(自分で言うな)ので,掲載します。こちらが,その出てきた紙です。画質を落としたくなかったので,121KBというちょっと大きいサイズかもしれませんが,我慢して見てみてください。なお,この紙の右半分には,※印のついたところの注釈が書いてあります。 |
さて,化学っていう科目では事柄がごじゃごじゃ混じっているので,どうしても暗記科目と思われてしまいがち。確かに大学に入るとちょっとはその種明かしとかもあるんだけど,ちょっと普通の高校生が手を出すにはしんどいかな・・・っていう内容。というわけで,ある程度は妥協して覚えていかないといけない,これが高校化学です。数学っていうのは,極めて論理的に出来ている学問だから,極論を言ってしまえば,定義さえわかるならば,後は定理を証明したり問題を解いたりするだけなんです。それに対して化学っていうのは,もともとが自然を相手にする学問だから,「そうなっているから」という理由で片付けられることも多いんです。少なくとも高校までは。 そういうところを勉強したい方には,参考書の使い心地の化学で紹介している,「化学IB・IIの新研究」をやることをオススメします。非常に詳しい説明がついていて,実際に大学に入ってからも役に立っているのですが,中途半端に出来ない人が手にするととんでもないことになると思います。 そうじゃない段階の人はどうすればよいか。後ろにある「原理」を理解することは出来なくても,ある程度までの法則性(もちろん,例外がついてくる)ならば理解することは可能です。少なくとも,東大の考察問題に耐えうる知識は,教科書+問題集でカバーできます。それを理解する手助けの一貫として,ここでは「有機化学の反応図」を使って説明します。 反応図を書くと何がいいかというと,まずは「莫大な量の反応を整理する過程で,頭の中も整理される」ということ。教科書とか問題集の後ろのほうに,これと同じような反応図が描いてることがよくあります。しかし,それを見たってほとんど役には立ちません。見るだけ見て,「ああ〜,こんな風に繋がってるんだなぁ」って感心するだけで,頭の中には入ってこないし,問題を解いたって思い出せません。これは何故かというと,すでに整理されているものが,必ずしも自分の頭の中で整理されているとは限らないからなんです。< その,「自分の頭の中で整理する」手助けをするのが,手書きの整理図なのです。 また,「大局観がつく」ということ。抽象的な言葉を使ってしまって申し訳ないですが,どういうことかというと,例えば,エチレンH2C=CH2の反応を考えてみましょう。これにH2を反応させる(触媒Pt)とエタンH3C-CH3が出来て,H2Oを反応させる(触媒:希硫酸)とエタノールH3C-C(OH)H2が出来ますが,どちらにしても真ん中の二重結合が開いて新たに原子が加わっています(これを付加反応といいます)。反応の本質はここにあります。これさえ分かれば,同じように,プロピレンH2C=CH-CH3の反応だって考えることが出来ますよね(ただしこの場合,水の付加反応についてはマルコフニコフ則を考えないといけませんが)。こういうのを「大局観」と呼んだのです。 これと反応図とがどう関連するのかというと,「反応図を書いているうちに,何が本質なのかが分かる」ということです。さっきのエチレンの例だって,サンプル左上らへんのエチレンのところらへんを書いているうちに自然と分かってくるんですよ。ただ,このときに注意したいのが,決して機械的な作業にしないこと。ただ単に,教科書に書いてある・板書を写したノートに書いてある反応式をまとめるだけじゃなくて,どこの部分が反応しているのかをハッキリと認識しておくこと。上のサンプルじゃやってないけど,反応して変わった部位を色で塗るのもいいかもしれない。私がやったのは,反応の種類で矢印の色を変えたということです。これを使うとかなり体系的に整理できますから。 このように,自分で手を動かして,どこが重要なところなのかを探しつつ,自分なりにまとめていくことによって,有機化学を体系的に理解することが出来ます(体系的の意味が分からない人は辞書で引いてくださいね。案外この単語って知らない人が多いんですよ。完全な余談ですが)。というわけで,早速描いてみましょう。 |
さて,いよいよ自分で反応図を書くところまでやってきました。ここまで読み進めてきた方ならもうお分かりでしょうが,私のサンプルをそのまま機械的に写したってほとんど利益はありません。このことを了解した上で,これからの部分を読み進めていってください。 まず,反応図を作ろうと思っても,そのベースとなる知識がないとどうしようもありませんよね(笑)。一通り授業を聞いたあととか,参考書で独学するなりして,知識を付けたということにしておきます(当然,しばらくすると忘れてしまいます。そのために反応図を描くんですね)。 用意するものは,鉛筆,紙(大き目のものが良い。このサンプルはB4の左半分を使っているけど,A4とかB4をまるまる使ってもいいと思う),色ペン,ベースにするノート・教科書・参考書類,参考にする反応図を一つ(このページのでも構いません)。なんかこう書いてるとキュー○ー3分クッキングみたいやな・・・ってそれはどうでもいいことです。 まずは,紙のど真ん中にアセチレンHC≡CHを書きます(こうすることで,反応図がバランスよくかけます)。その後は,参考にする反応図を元にして,鉛筆で薄く全体図を書いていきます。バランスの取り方とか結構難しいと思いますが,そこらへんは参考にしている反応図を見ながら,うまいこと・・・。この際に注意したいのは,見ている参考図をそのまま丸写しにしないこと。ところどころ,「こんな反応はやっていない」とか言うのを取り除いたり,「あの反応がないだなんて!」というものを入れたりするんです。既存の反応図ってかなりいい加減な部分がありますから。 この全体図を作る過程で,気になったところ(反応図には書ききれないけど,重要な事項)は,とりあえず※印を書いておきます。あとで別の紙にでも「注釈」としてまとめればいいでしょう。注釈にはどんなことを書いてあるかというと,例えば,サンプルの右上のほうにあるアセトンの※19,これには,「ヨードホルム反応。ケトンに還元性は無い(ただし,H2で還元されて第二級アルコールに戻ることは可)」と書いてあります。まとめる途中でプリントを見ていたんですが,そのアセトンの項目のところに書いてあったことをまとめたようなものです。 こんな感じでまとめたら,次は色を付けていきます。サンプルを見ていただけると分かるのですが,物質を囲む枠の色・形を微妙に変えてあります。緑色のものが中性,赤色が酸性,青色が塩基性(アルカリ性)になっていて,普通の物質(単量体(monomer))は四角い枠で,重合体(polymer)は雲の形のような枠で囲んでいます。また,反応を示す矢印は,反応の種類によって色分けしました。紫色が付加反応(これが一番多くなるはず),赤色が脱水縮合・・・などという風に色を分けました。後,重合になっているところは,矢印を波線にしてみたり。 まあそういう作業を,そうですね,1時間半もあれば出来るでしょう。大切なのは,完成させること自体というわけじゃなくて,その過程で色分けをしたりすることで,有機化学を体系的に理解することなのです。 |
自分なりにやり方をいろいろと工夫してみましょう。「私はこんなまとめ方をしている」とかいうのがあれば,掲示板に投稿していただけるとありがたいです。あと,芳香族でも似たようなものを作ったはずなんですが,何故か手元に存在しない(実家に眠っているか,すでに灰になっているか)ので,また発見することがあればアップしたいと思います。似たような感じで出来ますよ。中心に書くものをベンゼンにすればいいだけの話です。あと,汚い字でごめんなさい(笑)。けど,自分が読めればそれでいいんですよ(読み返す気がしないほど汚いのは考え物ですが)。 |
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