Last Modified:

TELの推奨勉強法(まとめ)総論

はじめに

How to受験勉強? に書いてあるような自分の考えを,短くまとめてみました。まずは,全ての科目を総論的にとらえてみます。全体像をとらえてください。各科目の具体的な勉強法に関しては,各論をご覧ください。

ここに書いた勉強法は,あくまでTEL個人が推奨する勉強法であり,これが全ての人に合うことはありません。いいところを適当に取って,自分なりにアレンジした上で参考にしていただければ幸いです。

基本原則

授業レベルの理解なくして,入試問題の理解なし。

推奨するコース

総論として,全ての科目に共通するであろう手順を,時系列順に紹介します。なお,時期に関しては,「高3の秋くらいまで教科書を進めるような,3年制の公立校」を想定しています。6年制の私立とか国立とかの人は適当に読み替えてください。

  1. 高2いっぱいまでは,ひたすら授業の理解と基本問題の定着。
  2. 理解に苦しむ分野は,解説型の参考書などを補助的に使用する。
  3. 高3に入ったころからは,徐々に程度の高い問題へと手を出していく。
  4. 夏以降は,より実際の傾向を意識した対策をとる。特定の分野を重点的に。
  5. 伸び悩む科目は,テクニックを説明した参考書や,予備校などでキッカケをつかむ。
  6. 大学別模試や過去問などで実践感覚を身に付ける。

目安となる勉強時間

人によって異なりますが,私の場合は以下のような感じでした。いずれも移動中の勉強を含めます。

いずれも,常軌を逸した勉強時間ではありません。最初のうちからコンスタントに続けていれば,後からあわてることもありません。

入試において必要な能力

大学に入学するには,入試問題で合格点以上の点数を取ることが必要となります。そのためには,授業レベルでの問題が解けるようになることが必要となります。何故ならば,入試問題は,教科書を基に作成されているからです。教科書レベルの事項を組み合わせた問題,もしくは,教科書レベルの事項に毛が生えたような問題が入試問題の大部分を占めます(それ以上のレベルの問題もごく稀に出題されますが,それは誰も解くことが出来ないはずなので,大勢に影響はありません)。

そのような入試問題を解けるようになるためには,どのような能力を身に付ける必要があるのでしょうか。私の考えでは,それは以下の4つに分類されます。

  1. 教科書に書かれてあることを「理解」すること。
  2. 理解したことを,基本的な問題を解くことに利用できること。
  3. 基本的な問題を解く力を利用して,より複雑な問題を解くことに応用できること。
  4. 以上3つの能力を,実際に試験会場で発揮できること。

これらの能力をいかに身に付けるかについて,以下で1つずつ解説します。

教科書に書かれてあることを理解する

何故この段階が必要か

この教科書の理解が脆弱な状態だと,その後の問題演習も全く無意味なものとなります。この段階は,スポーツで言えば,「基本的な体力」に相当するところです。いくら野球がやりたくても,バットを持って振り回す腕力や,グラウンドを駆け回る脚力がなければ,野球はできません。それと同じように,教科書の理解がない状態では,基本問題を解きたくても解けないし,また無理やりそれを暗記したとしても他への応用はできません。

どうやって教科書の内容を理解するか

教科書レベルの内容を理解するためには,授業を理解することが一番の近道となります。理由は言うまでもなく,授業の目標が教科書の理解であるからです。

もし新たな分野の事項について学習することを考えた場合,一番の近道,そして一番確実な道は,授業を聞くことです。何故ならば,初学者にとって,その分野を噛み砕いて説明してくれ,かつ必要なときには質問の出来る教師は必要不可欠だからです。確かに,独学で新分野の勉強をする人もいますが,せっかく授業があるのにそれを使わないのはもったいないだろうと私は考えます。また,独学で学習を行うのは大変厳しいものです。

教科書の理解ができないときは

まずは,授業を担当してもらっている教師に質問してみましょう。案外,自分の勘違いだった,ということも多いものです。それでもダメなところは,他の先生に聞くもよし。苦手なところは参考書に頼ってみるというのもいいです。

授業がダメだからと,安直な考えで内職に切り替えるのではなく,その授業を最大限に活用して教科書を理解することが大切だと私は思います。

注意

巷によく出回っている「勉強法」といった本の類は,この段階をあまりにも軽視しすぎているものが多いです(大抵のものは,次の「基本的な問題」から始まっています)。そういった本の著者は,この段階は「朝飯前だ」と感じてしまっているのでしょうね。

基本的な問題を解く

なぜ「基本的な問題」なのか

教科書の内容を理解したら,次はそれが頭の中から抜けないうちに,基本的な問題を解くこととなります。この段階では,基本的な問題を解くことが目標ですから,あせって難しい内容に手を出す必要はありません。

基本的な問題を解くことによって,2つの利点があります。

  1. より難しい問題を解くための「武器」となる
  2. 問題を解くことによって,先の教科書の理解も深まる

この2点が何故重要かということはもはや説明の必要もないでしょう。

この「基本的な問題」というのは,上の野球の例でいえば,素振りのような「基本的な技術」がちゃんとできるか,ということに相当するのではと思います。素振りができないのに打席に立っても,ピッチャーのボールは打てません。同じように,基本的な問題を解けるようにもならないのに,入試問題のようなものに手を出しても解けるはずがありません。

どうやって基本的な問題を解くか

では,基本的な問題とは,どのようなものを指すのでしょうか。私が推奨するのは,学校で買うことになるであろう,教科書の傍用問題集です。何故教科書の傍用問題集が優れているかというと,

  1. 網羅性が高い
  2. 教科書の理解の直後に使用することが出来る
  3. ついでに定期テスト対策にもなる

といったことが挙げられます。また,傍用問題集の欠点として,解説が少ないということが言われます。これに関しては,次の方法でフォローします。

  1. まずは,教科書に帰ってみる。答えはほとんどその中にある。
  2. それでも分からなければ,教師に質問する。また,解説型の参考書を参照する。

この段階までがきっちりと出来ていれば,残りの「応用」の段階は,比較的楽に進めることが出来るはずです。

もちろん,内容を網羅しているものであれば,教科書の傍用問題集でなくとも,他の網羅型の問題集をこなすことでこの段階はクリアできます。しかし,1つの問題集すら終わっていないのに,他の問題集に手を出すのは早計です(というか,どの問題集を見ても,似たり寄ったりです)。まずは,何か1つのものを終わらせることです。

基本的な問題が解けないときは

まずは教科書の例題のようなものをしっかりと見直してみることです。その上で,基本的な問題を解説しているような参考書を見るのもいいです。ただ,傍用問題集の問題は,その多くが教科書から一歩だけ踏み出したような問題ですから,単に「慣れていないだけ」ということが多いです。逆に考えれば,基本的なルールを,問題の量をこなしてしっかりと体に染み付けることが大切。素振りだって,理屈じゃない。体で覚えるものです。

ある科目が苦手科目だけど,何が原因かが分からない,という場合は,ほとんどがこの段階に当てはまります。理解はしているつもりだけど,周りが解けるような問題が解けないし,その解説を聞いてもピンと来ないというのは,その問題を解くための基本的な技術が体に染み付いていない証拠

「ちまたで評判の問題集」にやたらめったら手を出すくらいなら,授業で使用する傍用問題集をしっかりと解けるようにしておくべきです。この段階で躓く原因としては,説明不足というよりむしろ,演習量不足ということが極めて多いというのが実感です。

入試問題に応用する

いよいよ最終段階

「基本的な体力」「基本的な技術」を身に付けたあとは,いよいよ「応用的な戦術」を身に付けることになります。基本的な腕力や脚力があって,素振りができるようになって,はじめてピッチャーの球も打てるようになります。それと同じように,教科書の理解,基本問題の解法が身についてはじめて,応用問題を解くことができることを再び強調しておきます。

戦略を立てる

この段階でまず大切なのは,入試問題を自分の目で見て,どのような問題が出るのかを把握することです。入試問題をいつ見るのか,ということがよく言われますが,私は「教科書が8割くらい終わった段階」がいいのではないかと思います。この段階に到達することが出来れば,ある程度の基本的な問題も解けるようにはなっているでしょうし,科目の全体像も見えてくるころだと思います。大学の科目の配点や,それぞれの科目の試験時間,分野間の出題の偏りなどをチェック。

ここで初めて戦略を立てることが必要となります(逆に言えば,ここまでの段階では,どの科目も分野も偏りなく,基本的な力を身に付けることが重要だということです)。すなわち,どの科目に重点を置くべきか,どの分野に重点を置くべきか,どの難易度まで出来るようにすべきか,といったことを,現在の自分の力と照らし合わせて分析し,今後の計画を立てます。

どんな問題をどう解くか

ここまで到達することが出来たのならば,あとは問題を解くだけとなります。多くの方が,この段階で苦戦するのが普通だと思います。今までの基本的な事項を複雑に組み合わせた問題が出題されるのですから。しかし,案ずる事はありません。「複雑な問題も,単純な問題の組み合わせへと帰着できる」ことを信じることです。また,この段階で,おそらく基本的なところに「穴」が見つかることでしょう。そのような「穴」は,出てきたその刹那につぶしておきましょう

この段階では,ある1冊の問題集を繰り返しこなすよりは,幅広い問題にあたることで,「考える力」を養うことが大切となります。ただ,むやみに問題の数を増やすのではなく,1つの問題をやったその時に徹底的に理解することが大切です。

応用問題が解けないときは

これに関しては,学校の授業はあまり頼りにならないです。解説の詳しい(レベルが高めの)問題集を解く,もしくは,予備校の授業を(限定的に)履修することが,解決策として考えられます。

いずれの場合にも大切なことは,自分がどの段階で躓いているのかをちゃんと把握するということです。すなわち,基本問題が解けていない段階なのに,入試レベルの予備校の授業を受けるのは全くの無駄だということです。基本問題が解けないときは,ちゃんと網羅型問題集でつぶしておきましょう。

注意

繰り返しになりますが,この段階に関しては,学校の授業の利用はあまり期待できません。多くの学校では,教科書と傍用問題集を終わらせるだけで高校の3年間が終わってしまい,それ以降の発展的な問題についてはほとんど取り扱う時間がないというのが実情です。いわんや,個々人の希望に応じた授業をしてくれるはずもありません。その辺りは,自主学習や予備校で,ということになります。

なのに何故,公立のいわゆる「進学校」といったところは進学実績が良いかというと,それは上の「教科書の理解」と「基本的な問題」に重点を置いているからです。授業の解説と,その後に出される(それなりの量の)宿題が,それぞれの能力をつけるのに対応しています。逆に考えれば,進学実績に差がでるのは,これらの基本的な段階にいかに問題があるか,ということを示していると思います。

試験会場で力を発揮する

以上のことで身に付けたことを,ちゃんと試験本番に生かすことが出来るか。案外と忘れられがちな段階です。詳しいことは,試験までに読め!にまとめてありますので,そちらを参照してください。

試験本番で,自分が解ける問題が出るかどうかというのは,かなり運に左右される部分もあります。では,その運をも味方に付けるには,どうすればよいのでしょうか。

模擬試験(特に大学別模試)や,併願校の受験

以下のことを心がけながら,実際に試験を受けることで,予行演習になります。本番での緊張をほぐす,という意味でも,いくつかは受験することを推奨します。

本番前の勉強を切り替えない

本番前になって,「得点に直結することを!」ということで,英語の勉強は英単語の暗記,数学は公式の復習…といったように,考えない勉強に走るのは極めて危険です。「カン」を失いかねません。

傾向の変化に柔軟に対応

非常に重要な要素です。傾向の違う問題に戸惑う人は,絶対にいます。だからこそ,この段階で戸惑わずに,確実に得点を重ねることによって,自然と相対順位は上がることになります。

ここで,教科書の理解ができているか,基本的な問題がちゃんと解けるか,といったことが効いてきます。傾向の変わった問題を見事に解いたときの気分はもう最高ですよ。

全ての問題に手をつける

同じような理由です。