東京大学のウェブサイト内,「大学案内」の中の「前期課程」をまずはご覧ください。
この内容が,大学側が公式に発表している「前期課程」の案内です。これに付け加える形で,何点か補足説明を行いたいと思います。
駒場では,1年を2つに分けて,それぞれ夏学期,冬学期と呼んでいます。そして,学期の呼び方が独特らしくて,1年の夏学期を1学期,冬学期を2学期,2年の夏学期を3学期,冬学期を4学期と呼びます。講義は学期ごとに分かれていて,ほとんどは週1回の13週です。ただ,ゼミなど一部の講義には,夏休み集中5日なんてのもあります。
最初の1年半は,文1・2,文3,理1,理2・3と分割され,さらに語学ごとにクラスが編成されます。基礎科目の時間割はクラス単位で決定されるので,このクラスが一緒の人とは結構仲良くなります(お互い授業に出ていれば)。
駒場の教養学部の研究レベルはかなり高い(はず)。どの先生も大学院に所属しているので,やはり最先端の話とかも聞くことは出来ます。
略称英I(えいいち)。The Universe of Englishという教科書を教材として使います。内容は多岐にわたり,文章の難易度はやや難。1回で,A5の教科書に5ページくらいの英文をやることになります。
授業の構成は,Introduction(授業の導入的なビデオ)→Comprehension Check(プリントに書かれた設問に答えるもの。本文のあらすじがわかれば答えられる)→本文の解説(これに使われる時間はほとんどない)→Listening Practice(普通にリスニングの練習。ビデオを見て,プリントの穴埋めをしたり設問に答えたり)→次回のIntroduction,という感じ。
この構成はクラスによって若干異なります。というのも,英Iには3通りのクラスがあって,通常クラス,リスニング重視クラス,English Onlyクラスと分かれているのです。これは,1学期の場合は初回の授業で,2学期以降は前学期のうちに,それぞれ希望を調査して割り振られます。大体は希望したクラスに行けるみたいです。
教材も悪くないし,講義もまあまあなこの科目ですが,テストは「勘弁してよー」という感じです。統一の試験だから仕方ない部分もあるのでしょうが,穴埋めメインのテスト。大学に行ってそりゃねーだろーって思うんですがねぇ・・・。
略称英II(えいに)。LS(Listening & Speaking),W(Writing),R1(Reading1(多読・速読)),R2(Reading2(専門を加味した精読))に分かれます。R1とR2の区別ってのも曖昧なんですが,R1は論文や記事など,R2は文学作品を読むことが多いらしいです(聞くところによると)。内容は先生によって様々ですが,そのために毎年人気教官のところには希望者が殺到します。特に,評価が甘いといわれる,外国人講師のLSやWなどですね……
略称2外(にがい)(←あまり使わない)。どの言語を選択するかは,入学の手続きの時に選択します(入ってからは選択できない)。さっきも書いたのですが,この第2外国語でクラス編成が決まるので,ある意味では第2外国語が大学時代の友人を決定するといっても過言ではないでしょう。
第2外国語には,ドイツ語(ドイ語),フランス語(フラ語),中国語(チャイ語),スペイン語(スペ語),ロシア語(ロシア語),朝鮮語(朝鮮語)があります。私たちの代までは朝鮮語は文系のみだったんですが,2002年度入学者からは理系でも選択できるようになるみたいですね。
コマ数は,1年のときは2コマ(一列,二列と名前を付けて区別しています。先生がそれぞれ異なる場合もあれば,同じである場合もあります),2年のときは1コマです。
さて,授業の内容はというと,初心者向けの内容です。発音・表記から始まり,文法を身につけていく,といった感じです。まあ中学校から高校1年までで習った英語の内容と同じようなものをを1年に押し込めたものだと考えてください。もちろん,授業スピードは高校と比べても速いです。
ここだけの情報ですが,理系のチャイ語は2001年度から教科書が統一のものになりました。前年比3倍の量だとかで,非常に大変でした。まあやりがいはあるのですが。
情報処理では,主に計算機の仕組みとか基礎的な言語(HTML,TeXなど)を中心に勉強します。最初はメールの使い方をちょっとやるのですが,それ以降はUNIXを使ってファイルやディレクトリの操作の仕方とか,HTMLの文法とかを中心に勉強します。というかどんなことやってたかよく覚えてません(爆)。授業中はネットサーフィンしてましたからね……だってつまんないんだもん。試験もシケプリだけで乗り切れたし。WordとかExcelとかの使い方なんて全然教えちゃくれません。
この講義じゃコンピュータ・リテラシーなんて(きっと)全然付きません。HTMLの教え方とか,もうひどすぎ(参考→授業の逆評定)。機械がUNIXメインなのにも萎えました。(注:2004年度から教育計算機システムはMacに入れ替わるそうです。)
略称:論基礎(ろんきそ)。文系しか取れません。人文系と社会系の2系列に渡って8単位(4コマ)を取得する必要があります。講義数が多くないので,必然的にマスプロになることが多いらしいです(私は理系なのでよくわからないです。ごめんなさい)。
大学の初年度の数学は,大きく分けて微積分と線型代数に分かれます。さて,これの履修は理1と理2・3で異なります。理1は,数学I(微積分)と数学II(線型代数)の両方を,1年間必修として履修します。対して理2・3は,1学期は理1と同じく両方とも必修ですが,2学期は総合科目としての履修になるため,取らないという選択肢もあります。なお,2年になると,数理科学I〜Vという科目が登場しますが,これは全て自由選択(総合科目)です。
数学I(理2・3の2学期は数学III)は微積分を扱うのですが,これはAコースとBコースに分かれます。Aコースは「ε−δ論法」という,厳密な微積分の証明を中心に勉強します。対してBコースでは厳密な証明はやらないで,具体的に計算をやってみることが中心となります。なお,AコースとBコースの選択は自由です。また,数学II(理2・3の2学期は数学IV)は線型代数を扱います。こちらはAコースとBコースに分かれるということはありません。
微積分は高校の延長みたいな感じで結構楽なんですが,線型代数は難しいというのが正直な感想でした。まあ,教師(→宮岡教授1,宮岡教授2)の教え方のせいもあるでしょうが(苦笑)。
物理学は,1年の間は必修で,1学期は力学,2学期は電磁気学を勉強します。物理もAコースとBコースに分かれているのですが,この区別は数学とは全然違います。入試で物理を選択した人は強制的にAコースで,それ以外の人(例えば,生物・化学で受験した人など)はBコースに行くこともできます(実際は,ほぼ全ての生物受験者がBコースに入ります)。もちろん,Bコースの方が内容は易しいです。ただ,どちらのコースに入ったとしても,微積分を中心とした物理学を勉強することになります(が,そんなに恐がるほどのものではありませんよ)。
熱力学,振動・波動論,量子論,相対論,統計物理学,現代物理学,といった科目は総合科目にて履修することになります(選択)。
化学は,2学期には構造化学,3学期には物性化学という名前ですが,内容はほぼ一貫して量子化学です。2学期,3学期に,理系は全員必修です。構造化学は,(私の場合は先生が素晴らしい方だったので例外といえるのですが)死ぬほど分かりにくいものらしいです。Schrödinger(シュレーディンガー)の波動方程式とかいう代物も出てきます。けど,逆に,これさえマスターしていれば高校の化学なんかはかなりスッキリと説明できるようになるはずです(まだその段階まで習ってないので分からないのですが)。物性化学は,構造化学の延長で,比較的定性的な議論が進められると思います。
生命科学基礎は,理2・3のみが1,2学期に必修です。内容は,1学期は分子生物学(DNAの複製,タンパク質合成,代謝回路など),2学期は細胞生物学(細胞の構造,細胞間・細胞内での情報伝達,遺伝など)で,難度は,高校の生物を1段階くらいパワーアップしたようなものです。高校で生物選択だった私からしてみれば簡単だったんですけれど,物理選択の方にとってはどうなんでしょうね……。結構苦労しているみたいです。
略称基礎演(きそえん)。レポート作成とかプレゼンテーションとかの技術を学んで,専門課程に備えるらしいです。少人数なので,結構アットホームな雰囲気で進められるらしいです。
理系の必修科目で,2,3学期に行われます。出席はもちろん必須,そして毎回の予習と,ものによってはレポート提出があるため,それなりの負担となります。実験は大きく分けて,物理系,化学系,生物系,身体科学系に分かれます。物理系・化学系は,ちゃんとした結果が得られたり,口頭試問にパスしたりしないと帰ることが出来ません。実験は2人1組で行うのですが,パートナーの良し悪しが結構響いてきますね……。2人とも生物選択者のグループの,物理実験というのはもう悲惨ですよ。
負担も結構大きいんですが,実験の科目はそこそこ幅広いので,いろんなことを学ぶことも可能かと思います。
まあぶっちゃけて言えば体育です。サッカー,バスケ,ソフト,テニス,バドミントン,フィットネス,などなど,様々な種目があります。週1回なんですが,気分転換には最適の種目ですね。全出席+レポート1通で,優が確実にやってきます。逆に言えば1回でも休むと苦しい。
駒場の最大の特徴がこれです。教養学部の教官を中心に,様々な専門分野の先生がその得意分野を生かした講義を行っており,そのほとんどを文系・理系を問わずに履修することが出来ます。その講義数は莫大で,2001年度の夏学期では400強の講義がありました。したがって,シラバス(講義の紹介が書いてある冊子)は必携の書となります。それと同時に,生徒が教官を逆評定するという冊子も,ゲリラ的に販売されています(時代錯誤社というサークルから,恒河沙という冊子)。これらを総合的に見比べて,駒場の生徒は履修する科目を決定するわけです。
これについては本当に科目数が多すぎるので,私にはとても紹介しきれません。私自身が履修した科目とその紹介は,次以降のページでどうぞ。
基本的には紹介にあるとおり分野横断的な講義です。例えば,環境に関するテーマ講義で,環境の世紀という講義がありました。リンク先を見ていただければ分かるのですが,「環境」という1つのテーマに対しても,生態学,経済学,化学,倫理学など,様々なアプローチがあります。
取得単位やシンフリの点数などで不利なため,本当に好きな学生しか取りません。逆に言うと,少数精鋭で,やる気のある人だけが,自分の興味のあることを勉強する,これが全学自由研究ゼミナールです。教授とも親しくなれるし,最先端の研究も知ることが出来るしと,いいことだらけではないでしょうか。「座禅」「韋駄天ランナー養成」「マイクロロボット制作」などなど,面白いテーマを扱ったものも多いです。