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理科・社会の科目選択

掲示板に良く寄せられる質問に,「理科/社会の科目選択,どうしよう??」というものがあります。ここでは,それに対する私の意見を紹介します。また,それに対する回答の一部を掲示板から抜粋しました。

1.TELの意見〜将来の興味で選べ〜

やはり将来の興味や,現在の自分の好みで選ぶのが一番です。特に,理系の理科,文系の社会などは。

コストパフォーマンスだとかそういったことを言う人は多いですが,そんなのいくらでもカヴァーできます。むしろ,自分の取りたくない科目を取って勉強するより,よほど効率がいいはずです。例えば,理系の人は,多くが社会は地理を選択するのですが(一般的に,地理のほうが少ない努力で点数が取れると言われているからです),世界史とか日本史とかを選択した人だってどうにかしてる人が多かったように思います(私自身は地理選択なのでなんとも言えないのですが)。文系の人にとっての理科の選択だって,同じようなことが言えます。

それとか,理系の人に対する理科。私は生物選択者で,現在理科二類(生物系を中心とする専門に進みやすい)に所属しているのですが,周りを見渡してみるとほとんどが物理選択なのです。私はこれに対して2つほど原因を考えているのですが,「『物理のほうが受験できる大学は広く選べる』という,高校における進路指導」「『物理のほうが点数が取りやすい』という,高校や予備校における進路指導」この2つが大きく関わってきているのではないかと考えています。するとどうなるか……詳しくは次の項で述べますが,とんでもない生物系学生が誕生してしまうのです。

こういった選択科目について私が書き出すと,どうしても現在の教育制度への文句とかも出てきてしまいます。まあそういうところはサラリと流して読んでください。

2.理系の生物系志望者の,理科の選択

高校で履修できる理科には,「物理」「化学」「生物」「地学」の4つがあるのですが,大抵の高校では,このうち,「物理&化学」「化学&生物」のいずれかを選択することになるでしょう。中には,地学を選択できるところもあれば,物理・化学・生物を全て履修できるところもあるのでしょうが,大きな流れは「物化」「化生」の二者択一です。

私自身は,高校1年の秋頃に選択をすることになっていました。理系へ進むということは自分の中で確定していたのですが,物理で行くか,生物で行くか,というのは結構微妙でした。その時点で自分の元にあった情報というのは,「物理の成績は10で,生物の成績は7」「物理の授業はつまらなかった」「大学受験は,どうやら物理を履修していれば全ての大学は受験できるらしい」ということくらいでした。受験に関しては自分でもある程度は調べてみたのですが,物理じゃないと受験できないのは私立大学の理工系だけということが分かっただけでした。その時点の自分には私立に進学する考えはなかったので,結局は科目それ自身に関する興味だけで生物を選択しました。選択した直後に,担任の先生から,「なあTEL,理科の選択生物って書いとったけど,本当にそれでええんか?生物やったら受験できる大学とかも減ってしまうで」とか言われたんですが,今さら変更するなんて悔しかったので(笑),そのまま通しました。

が,結果としてそれは正しい選択だったと思っています。

大学に入って生物の授業をいろいろと聞いているんですが,必修のものはほとんど分子生物学・細胞生物学なんですね。せいぜい細胞単位までの,ミクロな生物学です。個体レベル以上を扱うマクロな生物学もあるのですが,あくまでも選択科目の1つしての扱いで,好んで履修するような人は少ないですね。理2を見渡しても。結局,中学校レベルの生物の知識で,そういった専門に進学してしまう人が結構いるのが事実です。

(ここからちょっと専門的な用語が入ります)また,先に書いたミクロな生物学では,例えば「DNAの情報がどのようにしてタンパク質に翻訳されるか」とかいったことをやるのですが,タンパク質が何故重要なのかが,物理選択者にはイマイチつかめていないというのが,2001年度に理2の一学生として級友と一緒に授業を受けたときの感想です。「タンパク質は,生体を構成したり,情報を伝達するための基本単位である」ということは,高校で生物をやっていれば常識であり,イメージもどんどん湧き出てくるはずなんです。しかし,それを知らないまま,DNAの構造とかタンパク質の高次構造とか,そういったことを勉強してもその意味がよくつかめないと思うんですね。私が,「例えば,おなかが減ったときには,血糖値が下がるでしょ。そのときにはグリコーゲンを分解しないといけないわけだけど,そのグリコーゲンを分解する酵素はタンパク質から作らなきゃいけない。けど,そのタンパク質を合成するDNAをいつも転写させていたら,血糖値が上がりっぱなしになるから,うまいこと調節してやらないといけない。この調節機構の微生物版がオペロン説の本質なんだよ」とか説明をつけてみて,ああなるほどな,って言う人も結構いるんです。(ややこしいのはここまで)

要するに,高校生物(IB・II)では,とりあえずは現代の生物学の鳥瞰図(だいたいの全体図)を学ぶわけです。この鳥瞰図を学ばずに,生物(医学系含む)への道を歩もうとする……これって危険なことじゃないですか?熱心な人は,大学に合格してから授業開始までの間に本を読んで自習しようとする人もいますが,やはりそのような短期間に本だけで学習すると,本質的な理解は身に付かないものです。将来本気でやりたい学問に関係しているのは,やはり高校の段階から勉強しておくべきというのが,私の意見です。

以上は,生物系へ進学したい人へのメッセージとして書いたつもりです。実際,物理系に進学したい人は,最初から物理を取りますからね。何のdisadvantageもないわけですから。ただ,そういった人も,「今やっていることは,大学に入ったときの鳥瞰図になるんだ」という意識くらいは持っておくべきだと思いますね。

掲示板にあった質問とそれへの私の回答も参考までに書きます。

理科の選択について
はじめまして。現在高2で薬学部を目指しています。
私の学校では高1で生物、高2で物理・化学を習い、高3で化学・生物か物理を選択します。
第一志望の大学が後期で化学・生物必須なのですが、他の大学では化学・物理必須のところが多いので
どちらを選択しようか迷っています。
もしも生物を選んで、高3で志望校が変わってしまったら・・とか、
物理を選んで行きたかった大学に行けなかったら・・などと考えていると、
今習っている物理に集中できなくなってしまいます。
どちらを選ぶべきでしょうか?
それとも、独学で両方やるべきでしょうか?
自分はこうだった、というのもあればぜひ聞かせてください。
アドバイスお願いします。
Re: 理科の選択について (TELの回答)
自分が薬学部に入ってから何がやりたいか,ということを中心に考えてみてはどうでしょうか。
例えば,薬学部で薬品合成とかの勉強がしたいのならば,
将来は化学の勉強が基本となってくるわけですから,
その基礎となる物理をやっておけばいいでしょうし,
逆に生物学をやりたいなら生物を選択すればいいかなぁ,と。

受験に関してはどっちが有利・不利ということはないと思います。
違うのは,受けられる大学が違うということですね。
その点,自分の志望とも照らし合わせつつ考えればいいんじゃないかな,と思います。
(つまり,どうしても第一志望というのなら,多少のことはあっても生物で押し通すべきなのかな,と。
ただ,生物を必須にするということは,それなりのことが入学後も求められるってことですよね。)

3.理系の人の,社会の選択

理系での社会の選択では,多くの人が地理を選択します(私自身もその多数派の一人でした)。が,あくまでもこれは全体論に過ぎません。とりあえずはどうして多くの人が社会を選択するのかを考えてみましょう。するとやはり,高校の進路指導が絡んでくるんですね。「覚えることが少なくていいし,理系の考え方に似ている」ということとか。実際私もそれに感化されて地理を選択したんですけれども(笑)。あと,私の場合,あまり歴史ということに興味を持たなかったというのもあります(←こんなことかいたら文科の人に怒られそう(汗))。

もちろん,地理を選択したって,勉強しなければ伸びることは無いでしょう。逆に,世界史や日本史だって,ちゃんと勉強すればそれなりの成果は出ます。いや,いろいろと聞くところによると,世界史とか日本史の方が,勉強量と成績がより強い正の相関関係にあるらしいです。また,公民(現代社会,倫理,政治経済)という選択肢もあります。とりあえず,私はそんなに社会には力を入れていなかったので(今から思えば後悔しているのですが),いくつか掲示板に寄せられた意見を紹介したいと思います。

僕の経験から言うと、好きな科目を選ぶのが一番点数が取りやすいと思います。(僕は大好きな世界史で90点ゲットしました)
あと、社会にあまり時間をかけたくないのなら、現代社会を独学で極めるのもいいかもしれません。
勉強時間ゼロでも7割取れたから、しっかり勉強したらそこそこいけるのではないでしょうか。

自分が得意な教科を選ぶべきです。
センター試験なら、真面目にやれば8割は軽く超えます。
ただ、理系なら地理が一番良いって、理系に進んだほとんどの友達に聞きました。
ちなみに、理系で歴史教科を選んだ友人は、失敗と言っていました。

コストパフォーマンスでいうとやはり倫理が抜群でしょう。
自分の志望校の科目指定にだけは御注意を。
歴史系は量は多い代わりに勉強量と成績が比例します。100を狙うならこれ。
地理は無難な感じ。まあまあやるとまあまあできる。
センターのとらえ方は人それぞれなので自分に合ったものを選びましょう。
あと公民は(倫理も)ここ二年くらい難易度がよく分からないので
全くやらないでも何割みたいには考えない方がいいですね。
でも歴史系に比べ圧倒的に楽なのは確か。

なぜ理系に地理選択者が多いかということですが、地理はあまり暗記もなく 地形図さえものにしてしまえば他の科目に比べてやり易いと先生から聞きました。 確かに歴史系よりは楽なのではないでしょうか??

4.文系の人の,理科の選択

こちらは,私の専門外なので(笑)あまりたいしたアドバイスは出来ないでしょうが……。まず,やはり「これは面白い!」という科目があるのなら,それを選択するのがベストです。理科だって,勉強すればセンターレベルくらいまでならどうにでもなるはずです。

点数の取りやすさで選ぶとしたら,どうでしょうね……。化学か生物かのどちらかから選択すると思うのですが,どっちもどっちじゃないかと思います。そんなことを書いてしまうとあまりにも無責任ですから,それぞれの科目のことについて書きたいと思います。

化学
勉強が素直に成績に反映する科目なのではないかと思います。ただし,センター試験の平均点は低いです。基本となる用語をまず押えて,出てきた反応とかを自分なりにまとめていき,問題集を1冊仕上げれば,高得点も狙えるはず。センターの問題はもう典型問題しか出ません。
生物
今年(2002年度入試)のセンター試験から,生物は考察問題中心に変化しました。考察問題ということは,前提とする知識の比重が比較的小さくなる反面,論理的思考力が問われるということです。国公立の2次試験の対策をしている人にとっては初歩的なものなのかもしれませんが,慣れない人にとっては高得点は難しい科目かもしれませんね。

こちらもまた,掲示板への書き込みがあるので,何点か引用します。

無題 投稿者:あや 投稿日:2003/11/13(Thu) 22:18 No.2397
高1の者ですが、今度2年次における選択科目の決定があります。
私が希望しているのは経営学部です。
選択科目は生物or物理です。
先生が言うには、ぶっちゃけ受験とはほとんど関係ないから好きな方を選んでも良い。という事でした。
私は生物を選ぼうかと思うのですが、みなさんならどちらを選びますか?またどちらの方が簡単(と言っては聞こえが悪いですが・・・)ですか?
Re: 無題 WHIM - 2003/11/13(Thu) 23:11 No.2398
物理は理系には楽しいと感じる人もいますが、文系の人には地獄です・・・・
悩むくらいなら生物にしましょう!
生物IBの間は中学のレベルより少し難しい程度レベルです。
生物IIは履修してないので分かりませんが教科書見た感じではそこまで難しくないです。
Re: 無題 微生物 - 2003/11/14(Fri) 15:17 No.2400
医学部志望の再受験生です。 先日は鬱気味だった私にアドバイスしていただきありがとうございました。

私が卒業した高校では、2年から文系と理系に分かれました。
1年では化学が必修でした。
2年から文系は生物必修で、理系は化学必修で生物と物理のいずれかの選択でした。
私は理系に進み、生物or物理の選択で物理を選択したのですが、地獄を見るだけでした。
理系クラスの約7割の人が物理を選択しましたが、授業が分からなくなる人が結構いました。
授業で特に先生の教え方が良くなかったという訳ではないのですが、物理はもともとあまり好きではない、すなわち生物の方が好きだが入試では物理の方が高得点が取りやすいので物理を選択するという人は多かったです。
実際私もその1人でした。
高校で文系が生物必修で物理を選択できなかった訳も理解できました。
「理系の人でも失敗することが多いのに、文系の人では・・・」ということです。

私は大学では主に分子生物学をやっていたので、「生物+化学」で受験することも考えましたが、どうしても理科で高得点を取らなければならないし、また物理が何とかできるようになったので、「物理+化学」で受験することにしました。
高校、大学を通して物理、化学、生物を3つとも勉強したことになりますが物理は化学、生物に比べてかなり難しく感じました。
物理はできるようになるまでの個人差が非常に大きいです。
生物で失敗した人の話はあまり聞いたことがないので、無難にいくなら生物をお勧めします。

5.最後に

好きな科目を勉強すれば,まあなんとかなるものですよ。